交通事故弁護団設立趣意書

 警察庁「平成21年度中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について」によれば,静岡県は,交通事故の発生件数の多さでは全国47都道府県中8番目,交通事故による死亡者数の多さでは9番目と,極めて憂慮すべき状況にある。

 かかる状況に鑑み,我々静岡県弁護士会浜松支部所属の弁護士有志は,被害の軽重の如何を問わず,あらゆる交通事故について,適正且つ迅速な救済を得られていない多くの被害者のために,民事上の損害賠償請求においてはもとより,刑事事件での被害者弁護活動においても,交通事故被害者の権利擁護のために全力を尽くすべく,ここに「静岡県交通事故被害者弁護団」を設立するものである。

 現在,交通事故による被害者の適正な救済を図る上でとりわけ大きな障害となっている問題が,いわゆダブルスタンダード問題,即ち保険会社相場(保険会社が示談に応ずる場合の相場)と裁判相場(民事裁判での解決における相場)とが大きく異なり,前者の相場が後者のそれを著しく下回っている問題である。そして,かかる状況を多くの被害者が知らないまま,保険会社が押し付ける相場での示談(和解契約の締結)を余儀なくされている。保険会社は,被害者が弁護士に委任して損害賠償請求訴訟等の救済手続をとらない限り,保険会社相場を死守して譲らず,そのため裁判費用(弁護士費用を含む)を捻出できなかったり,あるいはそれは可能であっても,早期解決の必要上,ダブルスタンダード問題を知らないまま裁判相場よりもはるかに低い,保険会社が提示する金額での示談に応じている事例が多々あるものと推測される。

 さらに,弁護士ではない保険会社の社員に示談交渉をする権限が与えられ,そうした社員が加害者に代わって示談する,いわゆる示談代行システムは,保険契約の加入者たる加害者へのサービス提供を名目としているものの,その実態は,保険会社相場を被害者に押し付け,示談においてこれを貫徹させることが目的となっており,被害者の適正な救済上極めて問題である。

 我々弁護士は,社会正義の実現と基本的人権擁護をその社会的使命としている。そして,人権は普遍的なものであって,あらゆる人々の権利擁護が図られて然るべきところ,上記のごとき状況におかれている交通事故被害者の人権擁護は,今日とりわけ重視されなければならない。交通事故による被害の救済に寄与する数多くの民事判例や,刑事罰における危険運転致死傷罪の創設などは,被害者の立場に立つ先人弁護士たちの不断且つ不退転の努力によって勝ち取られたものである。

 我々有志によって設立する静岡県交通事故被害者弁護団は,保険会社の代理人にはならない弁護士によって構成し,交通事故被害者の救済のために絶え間ない研修と研鑽に努め,被害救済に役立つお互いの実務的ノウハウの共有化を図り,弁護団所属弁護士の法曹としての質の向上に邁進し,もって交通事故被害者の人権擁護に大きく寄与していく所存である。

 さらには,交通事故被害者の被害賠償を適正に実現させる代理人業務を通じて得られた報酬の一部を,弁護団内でプールし,これをあしなが育英会に寄付する等の活動によって,交通事故遺児への就学・就労支援等,一定の社会的貢献を果たしていくことも,今後の課題として検討する予定である。

 我々弁護士有志は,以上の趣旨・目的に賛同して本弁護団を設立する。これを機会に,我々は,今後もこれまで以上に,交通事故被害者の人権の早期且つ適正な救済のため尽力する決意であることを表明し,合わせて,心ある弁護士が挙って本弁護団に参集し,互いの研修・研鑽を深め合い,ともに被害者救済のため尽力されんことを期待するものである。

団体概要

名称 静岡県交通事故被害者弁護団
設立日 平成25年4月1日
代表者 塩沢忠和
住所 〒430-0929
浜松市中区中央一丁目8番25号ADLビル2階
電話番号 0120-5656-90
   
   
   
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